8/20/2024

HLA 2

 HLAといえばA、B、DR(それに、C、DQ、DP)と習ったが、レポートを読むともう少しいろいろ書いてある。混乱するので読み飛ばしていたが、少し分かってきた。

・小文字のwとCREG

 歴史的には抗原特異性が確立していない(provisional)ことを示し、wは'workshop'の略である。

 現在では特異性が特定のHLA抗原に限定されない普遍的な(public)抗原に用いられる。たとえばHLA-Bw4とBw6の抗原は、ほぼすべてのHLA-B分子に存在するだけでなく、HLA-AとHLA-C分子にまで存在する。

 なお、こうした血清学的な抗原(serotype antigen)を共有する分子的・遺伝子的な抗原(HLA antigens)のグループを、CREG(cross-reactive group)と呼ぶ。そして、複数の抗原が共有するアミノ酸配列や認識部位のことをエピトープと呼ぶ。たとえば、Bw4とBw6のエピトープは、α1ドメインのヘリックスにあることが分かっている。

 HLA-Cのserotype antigenはその多くにwがついているが。これはC抗原が言わば「非A非B」のカテゴリーとして新設され、未だに抗原特異性が完全に解明されず保留のためだとwikipediaには書いてある。だが、補体因子(complement factor)と区別するためだとする成書もある。

・Class IIのAやB

 HLAクラスI分子はβ2ミクログロブリンとヘテロマーを作るが、クラスII分子はαサブユニット、βサブユニットともにHLA遺伝子にコードされる。DP(Q、R)のαサブユニットはDP(Q、R)A遺伝子、βサブユニットはDP(Q、R)B遺伝子といった具合である。

 ただし、DRB遺伝子以外は1セットしかないが、DRB遺伝子にはDRB1・DBR3・DRB4・DRB5という4つのパラログが存在する(他にもDRB2など多数の偽遺伝子が存在する)。なお、DRB1は他の5倍程度と、パラログのなかで最も多い。

 DRA遺伝子のコードするαサブユニットにはあまりバリエーションがなく、DRの抗原特異性はβサブユニットに由来する。ほとんどはDRB1に関係するが、DR52はDRB3遺伝子、DR53はDRB4、DR51はDRB5遺伝子の抗原である。

 なんで順番が逆(51、52、53でなく、52、53、51)かは、serotypeのほうが先にあって、そのあと遺伝子が分かったからではないかと、筆者は推察する。いっぽう、遺伝子が先にみつかったDQA1、DPA1、DPB1抗原などには、対応する「DP24」などの(背番号みたいな)serotypeがない。

・DRとextra points 

 腎移植で気にするA、B、DRのなかでは、Class IIなこともあってかDRミスマッチが最もグラフト予後に影響する。そのため、ドナーのDRが0ミスマッチ(ないし1マスマッチ)のレシピエントは、DRが2ミスマッチのレシピエントよりも優先される。