二月は日本の研修で言う「地域医療」に相当するであろうambulatoryで、開業医のofficeで外来診療を手伝う仕事だ。今日楽しかったことは、現場の機転や実学志向を生で学べたことだ。たとえば、どうにも肩から指先まで変な感覚がとれないという患者さんがやってきて、私は脳、頚髄、腕神経叢、肩から指先まで走る神経、そして筋肉とどのレベルが問題なのかをじっくり問診と診察で定めようとした。どうやら頸椎のすべりか何かが原因そうだと思われたがよく分からない…というところで指導医の先生にバトンタッチした。
その先生は診察して、さっそく少用量のgabapentinと物理療法士(によるリハビリ)を処方した。たしかに頸椎MRIで何か写っても手術するわけじゃなし、手術しても神経症状がなくなるとは限らないし…。神経からきた痛みのようだからgabapentinは効くかもしれないし、リハビリで生活に適応できれば何も問題はない。教科書の記載にもとづいた形而上学的な病態理解も大事だけれど、実際に患者さんを良くするにはという観点を思い出させてくれた意味で、このセッションは静かな衝撃とあらたな学びの喜びを私にもたらした。