12/21/2010

よい診療

 夜勤もいまのところ新患の数が少なく、よいケアーを心がけている。まず、患者さんのベッドサイドに座り落ち着いて話を聴き、問題の深層に迫る問診をする。「なぜ?なぜ?」と自問しながら、少しでも引っ掛かる点があれば聞き逃さない。患者さんのかかりつけ医でもあるがごとく生活歴や家族歴を聞き、患者さんにとって大事な逸話やエピソードにしばし耳を傾ける。仕事をしていれば「大変ですね」、仕事がなければ「お気の毒に」、子供がいれば「かわいいですね」、軍隊にいたなら「どこに行きましたか」。
 問診でほぼ何が起きているか分かる。診察で自分の仮説を確認した後、何が起きているかについて病態生理にもとづいた平易な説明をして、治療と検査のプランを説明する。そのあと患者さんと家族の心配と質問に応じ、カウンセリングする。心配を分かち合って、状況に応じてどのような行動計画があるかを説明する。「突然ERにきて入院だなんてcrisisでとても心配だと思う」と伝えることにしている。
 これだけやっても、朝になれば患者さんは別のチームに移っていく。退院すれば、あとは野となれだ。それでも自分にできることをしたい。僕はオーダーマシンじゃない。患者さんはモノじゃない。患者さんをよく知り、医学知識・経験と患者さんのバックグラウンドを合わせて問題の根底を見抜き、治療を継続して診られる医療を実践したい。