12/04/2014

Physician Heal Thyself(汝自身を癒せ)

 「Full potentialで働く」を日本語で「全力で働く」とか「100%の力で働く」と訳すと、なんだかその人は無理をしているように感じられるのは私だけだろうか。そのニュアンスの違いが、この節「Physician Heal Thyself(汝自身を癒せ)」に表されている。要は自分の健康を守れない人が人の健康を守れないということだ。予防できる病気にかかって体調を崩すのは馬鹿げていると著者は言う。そして自分で自分の健康管理をするのはいいが、自家診療(自己診察、家族の診察)は客観性を欠き質が落ちるので信頼の置ける主治医を持てと。

 また、患者のケアに執着しすぎて燃え尽きたり、患者と密接になりすぎてストーカーや脅迫されたり命の危険にさらされたりしないよう自分を守ることも大事だ。著者は理不尽に患者からメール、電話、直接に苛まれ、診療拒否を試みたが失敗し、州の医師会に問い合わせて紹介してもらった弁護士を頼って患者が近づけないようにした経験を書いている。後にこの患者の行動は精神疾患の前触れだったとわかった。さてこれで第八章は終わり、終章に続く。