Omakaseという言葉は英語になっている(Sushiレストランでみかける)。基本的になんでも自分で選ぶのがアメリカで、病院でも食事は患者さんが自分で栄養科に電話して注文できるようになっている。カロリー、アレルギー、飲み込みやすさなどを医師が指定した条件のなかではあるが。いろんな文化の人たちが集まっていて食べられるものと食べられないものが違うせいもある。なおインドの病院では食事は患者さんの家族が作ってくると聞く。
日本の病院の食事にもいろんなチョイスがある。主食だけで常食、軟飯、おにぎり、全粥、パン、うどん、そうめんくらいは選べるところが多いだろう。おにぎりは海苔なし、麺は刻まない、お粥はかため、パンは耳なしまで指定できる。さらに副食も、いろんなものをつけられる。たとえば:
生果物
お茶ゼリー
フルーツ缶詰
ねり梅
海苔佃
たいみそ
ふりかけ
梅干し
ようかん
ヨーグルト
ゼリー
プリン
ヤクルト
ジュース
アイス
納豆
ところ天
コーヒー牛乳
コーンスープ
パンプキンスープ
ポテトスープ
オニオンスープ
入院中、食事は楽しみのひとつと思う。だからいろいろ選べてよいことだ。しかし、これらのチョイスがメニュー表のように患者さんの手元に渡されることはあまりない。納豆や生果物など、ものによっては避けたほうがいい患者さんもいるから仕方ないのかもしれない。だから、提供する側は患者さんが聞いていないと思って「飯を食わせておく」などと言ってはいけない(これを戒めてくださった初期研修時代の指導医にいまでも感謝している)し、ちゃんと好みを聞いて満足してもらったほうがいいと思う。
たとえば、三度うどん(写真)でもいいほどうどんが好き、という患者さんがいるかもしれない。で、ニーズがわかれば日本の医療者は有能で真面目で思いやりがあるので、たとえその患者さんに塩分制限がかかっていてもなんとかしてくれる。どうすれば塩分少なくうどんを召し上がってもらえるか考えて汁をだし重視でうすめたり、工夫してくれるかもしれない(三食うどんもご本人がお望みで医学的に問題なければ不可能ではない)。工夫分のコスト*を取るためにやるというより、工夫したお食事を提供して喜んでもらえるのがいいと思う。それに、満足度が高ければ口コミでおすすめされるかもしれない。
*注:薄味うどんの工夫代というわけではないけれども、減塩食をおだししていることで「特別食加算」がとれる。また心疾患に対する減塩であれば、栄養師さんが週1回面談することで「入院栄養食事指導料」がとれる。