11/25/2016

Positive Strokes

 電子カルテもいいが、紙カルテにもいいところがあった。たとえば筆跡で誰が書いたかわかった(内容は読めないこともあったが)。それから、何をしてもうまくいかず周囲が敵ばかりに思える時に、「カルテの字がきれい」と言われただけで救われる人がいた。電子カルテになって、さまざまな職種の多くの人がカルテを簡単に読めるようになった。「字がきれいです」と言われることはもうないけれど「わかりやすいです」と言われることはできる。

 人間は周囲から日常に無限のストロークというフィードバックを受けていて、それがポジティブだったりネガティブだったりする繰り返しで自己肯定や自己尊重などが生まれると、交流分析という分野の心理学の本に書いてあった。振り返ると、ポジティブなストローク(下図)ばかり受けて育ったなと思う。運がよかったのかもしれない。いつでもどこでもポジティブなストロークが受けられるとは限らない。だから、自分で自分に、また自分から周囲に、ポジティブなストロークを与える人になりたい。

 そこで自分ですぐできるのが、祈りだと思う。シンプルに、現状において自分がいかに恵まれているかを再認識して感謝する。悩みや目標を言語化して、自力または他力の解決を願う。神様がいてもいなくても、祈り自体に自分を支えてくれる力があると思う。これはまやかしというより、心理学や行動科学でいう自己充足預言(self-fulfilling prophecy)、つまり思考は現実化するということだ。また自分を支えるだけでなく、河原和音『青空エール』にでてくるピグマリオン効果(Rosenthal効果とも;対義語はゴーレム効果)のように相手も支えるかもしれない。