胸をぶつけたあと、徐々にそこが痛いという患者さん。診察室で椅子に座っていても、痛みはほとんどないようだ。打撲だろうか。診察すると、肋骨や胸骨に痛みはない。しかし、みぞおちを押した途端に豹変。息ができないと訴え、腹筋を緊張させきつそうな表情を浮かべる。結局、脾臓を損傷していた。
本物(の臓器損傷や骨折)かどうか、検査する前に判断する能力が必要だ。本物っぽくない患者さんに念のため検査してしまうことも多い。それはそれで大事なこと。しかし、明らかに痛がっている、お腹がかたい(腹膜炎の症状)ときに限って、意外と検査するか迷っていたりする。経験が必要だ。