11/24/2024

Semi-direct Pathway

 抗原提示といえば、ドナー由来の抗原提示細胞によるdirect pathway、レシピエントの抗原提示細胞がドナー抗原を提示するindirect pathwayの二つと思っていたが、EV-mediated MHC transferを介したsemi-direct pathwayもあると知った(World J Transplant 2020 10 330)。

 細胞は細胞膜で囲まれているが、膜は動的で、つねに小胞を放出している。そして小胞の細胞膜にもMHC分子(すべての細胞にあるのはClass I)は載っているので、ドナー由来の小胞がレシピエント細胞膜と癒合すると、ドナーのMHC分子がレシピエント細胞に載る。
 
 ただし、ドナーMHCを持つレシピエント抗原提示細胞を認識するCD8+T細胞の運命を握るのは、CD4+T細胞とPD1/PD-L1だという。CD4+ヘルパーT細胞の助けを受けると活性化し、拒絶に向かう。いっぽうCD4+レギュラトリーT細胞(FOXP3+、Nat Rev Clin Onc 2019 16 356)に抑えられるとアナジーになり、寛容に向かう。
 
 PD1とPD-L1が結合すると寛容がもたらされるので、たとばレシピエント提示細胞のPD-L1(レシピエント由来かもしれないし、ドナー小胞に載っていたものかもしれない)がCD8+細胞やCD4+ヘルパー細胞のPD1と結合すれば、寛容となる。

 なお、チェックポイント阻害薬は寛容をもたらせないようにして腫瘍免疫を活性化するため、移植患者に用いられると、移植免疫まで活性化されてしまう。腫瘍免疫に特化したチェックポイント阻害薬があればよいのだろうが・・。