腎病理と言えば、難解なわりに(今となっては)見方が粗大で、「炎症細胞」「リンパ球」などで話が止まってしまうとしばしば指摘されるが、近年はもっと詳細に調べることが研究レベルでどんどんできるようになっている。
そして、免疫学のレクチャによれば、昨年JCIに、免疫抑制薬の種類によって、急性細胞性拒絶の腎病理にみられるCD8細胞の特徴に差があることが示された(JCI 2023 133 e170191)。
実際の患者から得られたデータであり(免疫抑制薬はタクロリムス、ベラタセプト、そしてCD40モノクローナル抗体イスカリマブ)、今後こうしたデータが蓄積すると、免疫抑制薬Aで起きた拒絶にはX、Bで起きた拒絶にはY、といった個別化ができるかもしれない。
おそらく血液・腫瘍内科では、化学療法Aで起きた再発にはX・・といった診療が行われていると思われる。また、遺伝子B異常のある癌には分子標的薬Y、といった診療も行われているだろう。
急性細胞性拒絶といえば、ざっくりステロイドとrATG、と相場が決まっており、臨床的にはそれで何とかなっているが、実際には治療後も拒絶が残存・再発する症例がけっこう存在する(AJT 2022 22 761、DR/DQミスマッチが多いほど高リスクという)。これから治療が変わっていくかもしれない。