ニコライ・ダールといえば、ピアノコンチェルト第一番がものすごく不評で落ち込んでいたラフマニノフを救った医師で、不朽の名作である第二番は彼に捧げられている。
彼がラフマニノフに行ったのは、催眠療法だった。
毎日ラフマニノフはダールの部屋の肘掛け椅子に座り、「あなたはコンチェルトを書く・・とても簡単に書く・・それは素晴らしいものになる・・」と聴き続けたのだという。彼はのちに、「信じられないだろうが、この治療はとても私に効いた」と語っている。
1900年の秋にコンチェルトの2つの楽章を完成させ、1901年11月9日、本人のピアノ演奏によって初披露された。
人間、いくら気にするなと言われても、他人の評価に弱いものである。だから、どうせなら、毎日「あなたはできる」と言われ続けているほうがいい。コンチェルトは書けなくても、自分らしく色々挑戦できるだろう。
ただ、第一番の不評を経験しないと、第二番は書けなかったのかもしれない、とも思う。となると、大事なことは、やはり他人の評価を乗り越えることなのかもしれない。