Alport症候群の責任遺伝子はCOL4A3、A4、A5で、A5はX染色体にある。キプロスにCol4a3遺伝子変異の集積が、ユタ州にCol4a5遺伝子変異の集積がみられる。Jackson Labというメイン州にある多種多様な実験マウスを生み出し供給する施設で、Alport症候群の原因や治療に関係する可能性のある遺伝子がいくつかみつかっている。たとえばアクチンに結合するFormin1(基底膜陥入にも関係する)、mTOR経路の上流にあるDgke、Pik3r1など。
クマの冬眠について。クマの冬眠に関わる未知の遺伝子はないが、クマの冬眠で特異的に調節される遺伝子は166ある。そして、同様に冬眠するマダガスカル等に住むテンレックとも共通する遺伝子はTDRD5、CISH、SOCS2、SLCO1C1、SERPINC1、NDST3、RTN4RL2・・・など。なかでもTDRD5遺伝子は、ボウマン嚢の血管極よりの、上皮細胞が足細胞に分化するところに発現しているという。
クマの実験は非常に実現しにくいが、マウスも、冬眠に似たtorpor状態になるという。ただし、簡単に起きてしまうので、測定器具を埋め込んでからtorporに至らせるなど工夫が必要だそうだ。
冬眠もtorporも腎臓に限らず長寿などの健康効果が期待されている。筆者も昼寝にもそうした効果があればよいのだが。