8/05/2007

医者

 知識と技術を持つから、医者である。発疹をみて「皮膚の何かでしょう」というだけでは医者ではない。いくつかの病気を知っていて、蕁麻疹っぽいです、とか、接触性皮膚炎を疑うような病歴はありません、とか言えて、やっと医者のはしくれである。さらに、どんな診断か迷うような症例まで詳しい検査や豊富な経験をもとに診療できるのが、専門医である。
 救急外来では、ありとあらゆる症例がやってくる。重症度もさまざま。重症なリスクがどれくらいあるか(理論的には、翌朝まで大丈夫そうか)を算定すること、患者さんの症状を取り除く努力をすることが重要だが、それとはべつに、患者さんの問題が何かを探る努力が必要になる。除外していく診療から、診断をつけにいく診療へ。
 救急外来では、専門医に責任を分配することが多い。判断がつきにくいときや、あるいは判断した責任を分配するために専門医に相談する。時間も限られており、調べものをする時間はまずない状況では、持ち合わせた知識を越えることは、聴くしかない。しかし、丸投げしてばかりでも成長しない。あとから、勉強することが重要だと思う。