抄読会で発表する論文を読んでいた。一瞬脈が飛ぶという不整脈について調べていた(それ自体を薬で抑える必要はないとされているが、時と場合によるので調べていた)ところ、review articleの最初のところに「古代中国の医師がすでに記載している」と書いてあった。検索すると、扁鵲(へんじゃく)のことらしい。針灸の始祖とも言われその道では有名な人なようだ。
いくつもの逸話が残っている。高桑君という神医から医術を授かり、人の気・脈の流れが透視できるようになったという。邯鄲にいって、そこで人々が婦人を貴ぶと知ると婦人科医になった。周にいって、人々が老人を大切にすると知ると老人科医になった。咸陽にいって、人々が子供を愛護すると知ると小児科医になったという。地域のニーズに合わせてなんでも診られる医師ということで、家庭医のコラムなどで引き合いに出されそうである。
また、六不治といって、「こういう状態の人は、病気になりやすく、また治りにくい」という概念を提唱した。
驕恣で、物事の道理に従わない状態
財ばかりきにして身を軽んじる状態
衣食住を適切にしない状態
陰陽が五臓にとどこおり、気が安定しない状態
身体が衰弱しきって、薬を服用できない状態
巫を信じて医を信じない状態