9/11/2007

自分を信じる

 今日は、方針を誤ってしまい残念だった。患者さんを診る前から、この検査(A)をしよう、と決めてかかりすぎた。実際の診察では、その検査で疑う疾患(X)とは別の疾患(Y)のほうがより当てはまる印象を持ったが、そのままその検査をやってしまった。残念ながらAに伴う合併症を起こし、Aはできなかった。あとから、Yに対する検査(B)を行う。BのほうがAよりずっと非侵襲的である。結果、Yであることがわかり、治療して患者さんの病状は改善した。
 今日は、先輩がおらず、自分と後輩たちで診療した。Aという検査は、事前に上司から話に聞いており、「まあとにかく今日はAをするのだな」と鵜呑みにしていた。自分の頭で考えて、自分のみた所見を信じないと、うまくいかない。まず最初にすべきことは、最も患者さんの病気として考えられるものについての検査や治療である。検査は、もっとも身体に負担が少なく、かつ役に立つものを選ぶべきである。それが、よい診療である。
 Sutton's lawである。もっとも考えられる診断を確かめる検査を最初にしなさい、という教えである。Sutton Willieという銀行強盗が、なぜ銀行強盗をするかと問われたときに "Because that's where the money is." と答えたとされている(後日彼は発言を否定しているが)故事による。同じような意味で、"When you hear hoofbeats in Texas, think horses, not zebras." というのがある。肝に銘じねば。