機内で体調をくずした人がいたら、どうするのか。救命処置としてはABC(Airway、Breathing、Circulation)を守ることだ。今回の飛行時間は10時間ちょっとだった。到着までに命があやうい場合は、太平洋を通過中なら日本、Hawaii、米国の太平洋側のうち最寄りのところに緊急着陸するのだろう。そこから救急車で病院に搬送となろう。
それほど生命に危険がすくないと思われる場合は、症状をとりつつ様子をみる。熱さまし、痛み止め、咳止め、下痢止め、吐き気止めなどの薬(錠剤、注射)はあるのだろうか。なんなら自分が常備薬をもっていればよい。
問題は、両者の間のグレーゾーンである。症状が激しい場合、生命の危険が少ないと考えられる病態であっても人々は不安になり、声が大きい人(権力を持っている、怒っているなど)なら緊急着陸しろとすごんでくるかもしれない。あるいは、緊急着陸すれば多くの乗客、航空会社、などの予定を大幅に変更することになるので、その責任を取れるのかといわれるだろう。
生命の危険が100%ないとはいえない。しかしなんでもかんでも緊急着陸したらオオカミ少年である、というか医者じゃない。この見極めがプレホスピタルケア(病院にくるまでの処置と判断)である。前の病院で救急車同乗の経験を2-3回したが、みな重症に見えて大汗をかいた。いまはどうだろう。重症度に応じた行動をとれるよう、訓練がもっと必要だ。