心肺蘇生行為を行わないことをDNR(do not resuscitate)とまだ日本では呼んでいる。というか、日本ではDNRがwithdrawal of care(治療をやめる)とかde-escalation of care(アグレッシブな治療をやる)とかcomfort care(治すことを目標にすることから患者さんの痛み・苦しみをとることを目標に変えて、そのためにアグレッシブに介入すること;内科的治療をやめたあとただ打ち捨てられたようになっているのを目にすることがあるが、そうではない)とかとごちゃまぜに使われている印象を受ける。
さてDNRというといかにもCPRで高率に蘇生できるような印象を与えるため、「いやCPRってのはそんなもんじゃないんだよ」というニュアンスを加えたDNAR(do not attempt resuscitation)という言葉が生まれ、現在米国ではこちらが主流だ。
しかしこないだの米国内科学会日本支部の総会でミズーリ大学のDr. David A. Flemingがend of lifeについての興味深い講演をしたあとUABのDr. Robert M. Centorが「私達はDNARではなくAND(allow natural death)という言葉を患者家族に使っている」と発言した。たしかにDNARにもまだ「蘇生という素晴らしい医療行為で救えるかもしれない命をみすみす落とす」というニュアンスが残る。ANDがいい。