5/29/2015

Post-hospital syndrome

 米国内科学会誌を待っていたら今日来た。Journal Clubで脳梗塞に対するIAT(動脈内治療)のスタディ三つ(NEJM 2015 372 11、NEJM 2015 372 1019、NEJM 2015 372 1009)をレビューしていたのも興味深かったが、もっと面白かったのはIdeas and Opinionsの投稿だった(Ann Intern Med 2015 162 726)。要は、成人病棟は非人間的なところで「血抜き、食抜き、寝かせきり」をして、患者さんのストレスに対する配慮が欠けていることが、小児病棟と比較すれば一目瞭然だという主張だ。私は以前、音楽療法士さんがいる病院にいたのでそれがいかに患者さんのストレスを減らし、それがよいケアであることを証明するのにスタディなどいらないと感じたかについて書いたから、まったく同感だ。(とくに高齢者の場合)患者さんが退院後に入院中のストレスが一気にでてしまい、その現象が多すぎるあまりpost-hospital syndromeなどと揶揄されるまでになっている(NEJM 2013 368 100)そうだ。

 入院中の患者さんは入院しているだけでストレスなのだから、それをケアしてあげなければならない。私はよく米国時代によく「入院ってcrisisですよね」と共感してしばしお話をきくなどしていたが、もっとinstitutionalに取り組まなければならない。だから小児病棟が引き合いに出される。カラフルな壁、病棟内のリラックスできるスペース、蔵書、ゲームなどのハード面と、音楽療法士、臨床心理士を中心に多職種が患者さんの家族も引き込んでこの問題に当たるソフト面だ。一般病棟で毎日採血とか、論外だ(血液検査をしないと分からない腎機能や電解質を扱う私が言うんだから間違いない)。「入院は辛いけどみんなが良くしてくれた、ストレスを軽減してくれて比較的快適だった、ここに入院して良かった」と患者さんの目が活き活きするような病棟を見てみたい。