5/15/2015

Courtesy

 教育とは教わって30年経ってもまだ残っているものの事を言う、と本で読んだ(小林司著『「生きがい」とは何か』NHKブックス)。それで、30年まで行かないが10年ちょっと前に皮膚科の臨床実習で当時の助教授から習ったことを思い出した。といっても皮膚のことではない。この先生はたしかイギリスに研究留学された方で、どういうわけか講義の途中でgentlemanshipについて語りだした。そして、「ドアを開けて中に入る時には必ず後ろを確認して、あとから来た人がいたらドアを開けて待っていてあげなさい」と言われた(gentlemanshipというと男性だけみたいだから、代わりの言葉を探したが、まあcourtesyあたりか;professionalismにもなるのかな)。

 教育って不思議だけど面白いなと思うのは、それ以来私はこの言いつけを守り、自分なりに温め続けていることだ。ネクタイにシャツというスタイルを貫いているのも、そういう文脈だ(九州の暑いところで初期研修した時にもその習慣を守ったので、卒業するときに寄せ書きに「Mr. オシャレさん」という名誉な称号を書いてもらった…別にオシャレじゃないと思うけど)。白衣を着て椅子に座る時に白衣にしわが寄らないように気をつけるのもそう。歩いていて左右から他の人が来たら立ち止まって彼(彼女)に道を譲るのもそう。エレベーターに乗り込んだら、誰か来るかもしれないから「閉」ボタンを押さないのもそう。100%守れない時もあるけど、習慣化しているからだいたいやっている。

 翻ると、私が誰かに言った(あるいはどこかに書いた)ことがどこかで誰かに影響を与えているかもしれないということだ。やっぱり面白い。