指導医になったからには、プロなのだから、できるはずのことはできて当たり前である。だから、難しい局面でも何とか打開して結果を出さなければならない。というわけで、研修医の先生がうまく行かなかった大腿静脈CVカテーテルの挿入を代わった。1時間くらい試行してうまく行かなかったが、場所に問題があったようなので他の場所に変えた。でもそっちは、血管の走行がずっと深く径も細かった。正直はいる気がせず「無理でしょ…」と思ったが、諦めるわけには行かない。それでなんとか気合で成功させて、面目を保った。
手技を終えたあとに、ビックリすることがおきた。なんと同じ病室の(担当ではない)患者さんたちから「先生」と声を掛けられ、「おめでとう」と拍手されたのだ。「おめでとう」と言われたのはいつ以来だろう。フェローシップの卒業以来かな。入院中でおつらいだろうに自分のことをそっちのけで担当でもない私にそんなあたたかい言葉を掛けてくださるなんて、本当にありがたいと思った。それから、こういうドラマがあるからやっぱり自分は臨床医を続けていくのかなあとも思った。