7/24/2015

FMLA

 日本に来て、入院患者さんが退院する際にはご家族に来院してもらい面談して決めなければならないという不文律をより意識する。米国にいた時には高齢患者さんであっても基本的に説明はご本人に行って、退院の日取りはご本人がご家族に電話なりで相談して決めることが多かった気がする。もちろんご家族が来ることもあった(ICUなどなら当然)が、その際にFamily and Medical Leave Act(FMLA)の書類を渡されることがあった。私は法律のことはわからないが、ここでは両親や配偶者が病気のために仕事を休んだり切り上げたりする権利を被雇用者に与える意味合いで適応されていた。この法律があるので、「仕事が終ってからになるので夕方(あるいは夜)しか家族面談はできません」というような日本ではいまでも時々みられる状況はほとんどなかった。

 いま日本では介護離職者が増えて問題になっているという。労働人口の多くが子供の世話、両親や配偶者の介護によって仕事ができなくなったり、早退などに職場が理解を示さなかったり収入が減らされたり、あるいは自分自身が健康を害してしまったりしているようだ。将来は安保法制の改正などによって米国でいうveterans(退役軍人)に相当する社会層(PTSDや脳損傷やその他の後遺症を負った自衛官)も増え、彼らを介護する必要もでてくるかもしれない。これらの介護しながら働く人たちを「会社の都合に合わせられないならやめろ」といって切り捨てる余裕は、いまの日本の労働市場にはないのではないか。フレキシブルに働きお互いが事情を理解しあって支えあう職場作りと、それを促進する社会的法的な整備が求められると思う。