患者さんから手紙をもらった。ICUで診療にかかわった患者さんで、回復して感謝の気持ちを伝えに手紙を書いてくれたそうだ。私の名前や、You saved my lifeなどと書かれた手づくりの工芸品も一緒に送ってくれた。面はゆい気持ちになったが、ありがたく読ませてもらった。「お手紙ありがとう、私が特別なことをして助けたわけではないけど、回復したようでうれしいです」という返事を書こうと思う。
ICUは殺伐したところだし、たいてい患者さんは鎮静下にあり喉に管が入ってとにかく苦しいはずである。会話もできない。でも、毎朝診察すると「今日は調子がいいよ」と身振りで示していた。人工呼吸器から離脱できるか瀬戸際だったが、本当に幸運なタイミングで喉の管を抜くことができた。もう一日遅かったら、気管切開になっていただろう。
今日は以前に診た患者さんに電話してみた。彼らの症例を論文に書くためだ。もし承諾してくれなければ、ここ数週間書き続けていた原稿がパア(もっとも投稿しても通るとは限らないのだが)だった。前述の患者さんの手紙に勇気を得て「私は患者さんに親身に接していたはずだ」と受話器を取ると、患者さんも回復していたし、執筆にもOKしてくれた。