7/08/2010

Growth hormone

 下垂体の話はまだ続く。IGF-1が低値であれば、GH産生低下を証明するためにGH産生刺激テスト(=ITT, insulin tolerance test)を行う。0.15unit/kgのインスリンRを静注(インスリン抵抗性の患者では0.2、インスリンにナイーブな患者では0.05)して、GHレベルが3.0mcg/L以下であれば成長ホルモン分泌不全と診断する。recombinant GHは40,000ドル/年もかかるから、治療は他のホルモン分泌不全(甲状腺、副腎、性腺など)を治療しても不応の例に限られる。GHは全般的に組織の増殖を助けるので、悪性腫瘍の患者には禁忌である。
 GH産生過剰(acromegaly)は98%下垂体由来で、多くの場合adenomaによる。IGF-1が高値の場合OGTT(75gグルコース)を行い、GHレベルが1.0mcg/L以上であれば診断する。GH産生腺腫は近傍のLH/FSH産生細胞を圧排するため、性腺機能異常を伴うことが多い。治療は手術が第一選択で、不応例にはstereotacticな放射線治療もおこなわれるが、これはまず汎下垂体機能低下を起こすと思ったほうがよい。ソマトスタチンアナログも用いられる。手術がうまくいけば、骨の異常以外のacromegalyの所見は消える。またacromegalyの患者は心血管系疾患と悪性疾患を合併している場合が多いので、スクリーニングが重要だ。