11/12/2014

研究と臨床と教育(aka Theodore E. Woodward)

 Theodore E. Woodwardは著者の大学(Maryland大学)にいた医師で、すぐれた研究者でチフスなどの感染症研究でノーベル賞にノミネートされ、すぐれた教育者で学生が選ぶ賞(Golden Apple Teaching Awardと呼ばれ、米国のどの医学部にもある)とfacultyが選ぶ賞を殿堂入りするほど受賞し、かつ情熱的な臨床医師でブリザードが吹いて多くの医師がこれなかった日も平然とやってきて(もう80歳になろうという頃で自分が直接患者を診る業務はなかったのに)「除雪車にヒッチハイクで乗せてもらったよ」と言うような人だったそうだ。
 こういう研究も臨床も教育も一流な人というのは、確かに存在する。私でいえばアイオワ時代の今は亡き恩師がそうだった。皆さんの周りにもいるだろう。どうしたらなれるのか?いまは細分化、分業化がすすみ教育は教育、臨床は臨床、研究は研究に分かれているからレーダーチャート(うちの院長が好む言葉だが)を傘のように広げるのは無理なのだろうか?米国のacademicianは、臨床何%、研究何%、教育何%と決めて仕事をするという。しかし1/3ずつやる人はまずいない。大学にいる医師はphysician scientistかclinician educatorかhospitalistだ。
 で、私はclinician educatorを目指してやってきた。そしてsemi-academicな環境(community teaching hospitalで、大学ではない。医局にも入っていない)にいる。いまはエネルギーを蓄える時期だからアクティブな活動はできないが、考える時間はもらえている。今まではbed-side teachingとprofessionalismとclinical reasoningとefficient workについて教えるのが好きだった(得意だったから)。これからはどうだろう。目標は何度変わってもいい。歩き続けることが重要で、そうすればいつかどこかにたどりつくだろう。