11/27/2014

Etiquette Based Medicine

 この本の第七章はcivility(礼儀正しさ)についてかかれている。日本でも医学部はしらないが初期研修では接遇講習を取り入れるところが増えていると思う。これがなぜ大事かと言うと、医師からすれば正しい診断と正しい治療を行い患者の言うことを理解しcompassionやempathyを示していれば十分に思えそうなものだが、患者からすれば「あの先生は握手しなかった」「あの先生は名前を名乗らなかった」ということは些細なことではないからだ。
 だからBeth Israel Deaconess Medical Centerの精神科医にしてHarvardの助教授であるDr. Michael W. Kahnによれば、医学教育において接遇講習は必修化されるべきだという。人間性の涵養などといって難解な本を読ませるよりずっと簡単で、教えることができるし、効果も期待できる。形から入ることで内容もついてくるものだからだ。彼はそれを、CVラインの感染症予防に手袋着用や清潔野の確保といったチェックリストをつくるアプローチになぞらえている。
 それで彼は接遇六箇条を仮につくり、New England Journal of Medicineに紹介し(2008 358 1988)、のちにこれはNew York Timesにも紹介された。六箇条とは:

  1. 診察室に入る許可を求め、答えを待ってから入る
  2. 自己紹介する、その際IDバッジをみせる
  3. 握手する(必要なら手袋をする)
  4. 座る、必要なら笑顔を見せる
  5. 患者ケアチームにおける自分の役割を簡単に説明する
  6. 病院にいることについてどう感じているかを尋ね、反応を聴く
医師からしたら「この程度のこと」かもしれないが、あなどってはならない。これで患者満足度があがるのである。人として、healerとしての土台だろう。これが必修化されて「この程度のことだが残念ながら意外とやられていないこと」が「やって当然のこと」になれば、不要な医師・患者関係の摩擦が減るだろう。