11/05/2014

忘れられない一言 19(aka Rhaze)

 この本の第三章は中世の医師たちを紹介している。中世の医師といえばGalenを想像する人が多いだろうが、この本ではRhaze、Avicenna、Maimonidesの三人を紹介している。Rhaze(Abu Bakr Muhammad ibn- Zakariya Razi)はContinens Liber(The Large Comprehensive)という9冊からなる集大成を著したことで有名なペルシアの医師で、Galenの体液説を公的に否定した最初の人だ。本に書かれたことよりも、自分で観察し考察することを重視した彼は、こんなことを言っている;

 All that is written in books is worth much less than the experience of a wise doctor.

 科学技術が進んで知識が集積した現在を生きる私達は本を読んで医学を勉強する。それは本に書かれた内容がすでにwise doctor達のcollectiveな経験、またはevidenceに基づいたものだからだ。だから症例検討会などで経験豊かな先生が「(私の経験によれば)これはこうだ」などと言っても、心のどこかで「ああそうですか」と思うことがある。でもそれは、それでいい。というか、自分も自分なりの観察と経験で意見を持てばいい話だ。