9/05/2016

GCM and LCM

 あなたはケーキを7等分しろといわれたことはあるだろうか。7と360は互いに素だから、魔方陣をかける人か、北海道の人(下図の北海道旗にはオーストラリア国旗にもでてくる七稜星が輝く)でもないと大変だ。ドイツロマン派の詩人ノヴァーリスは「サイスの弟子たち」という作品で、自然とはあらゆるところに数字の暗号が隠された偉大な書物であると言ったそうだ。星を見て七稜星を想像するなんて洋の東西を問わず昔の人はすごい。

 互いに素は英語でco-prime(relatively prime)、つまり素数をプライム・ナンバーという。反対に、素因数分解できる数をcompositeといい、素因数分解はプライム・ディコンポジション。さて素数、互いに素な数たちは最大公約数(英語でGCM、great common measure)に1しか取れない。つまり、集団にたいしてあまりにも異端になってしまうと共通項がなくて一緒にやっていけない。みんな偶数なのにひとりだけ奇数なようなものだ。

 均一な集団にひとりだけ互いに素(ソは疎に通じるかもしれない)な人がいては、つまはじきだ。でも均一なだけの集団に爆発的なブレイクスルーは生まれない。9さんと13さんと16さんには公約数がないから、一緒にやっていくのは大変だと思う。でももしお互いがお互いを受け入れあったならば、最小公倍数(LCM、least common multiple)をとれる。9と13と16の最小公倍数は9かける13かける16、1872である。

 これが、前に紹介したグーグル社のアリストテレス・プロジェクトの意味。あるいは会社でもてはやされているダイバーシティーという言葉の裏づけ。わたしは3とか5とか7とか11は独立しててカッコいいなと思っていた。おおきな素数どうしでできた数(たとえば11111111は11かける73かける101かける137)を目指して周囲と互いに素になったりもした。最近は24(約数に2、3、4、6、8、12をもつ)みたいに丸いのもいい。数遊びだ。