9/27/2016

忘れられない一言 36

 「先生はベスト・ウェイを走ってると思いますよ」。上京されたお忙しい合間を縫って東京駅でお会いしてくださったあと、別れ際にこの言葉を掛けてくださった指導医の先生は、すごい。人を癒すというのはこういうことなのかなと、いまは分かる。この言葉、順風満帆なときには誰もいわない。これは「先生は(今は自分ではそうは思えないかもしれないけど)ベスト・ウェイを走ってると思いますよ」ということだ。

 それが、信じるということだ。月が欠けていても、欠けた部分は見えないだけでちゃんとあるように。種をまいて土に埋もれていても、地下では芽生えの準備がおこなわれているように。Recoverという英語を辞書でひくと、to get back something lost or taken away, especially by making an effort(失われた、奪われたものを、とくに努力でとりもどすこと)。回復、でもいいけど、取り戻すことなんだ。

 冒頭のことばには「先生は(きっと輝かしい未来への)ベスト・ウェイを走ってると思いますよ」という意味もある。苦労するのも、すべては、よいことのために。Every cloud has a silver liningという。雲の端が太陽の光で輝いているように(写真)、いつかは必ず晴れるということだ。雨の後に月は星空にまんまるく輝き、日照りの後に種は芽生えておいしい穀物を実らせる。
 
 いったい、どうしたらこんな言葉をふと思いつくんだろう。

 私も、こんな言葉を言ってあげられる人でありたいと思う。