7/01/2008

リスク

 今日は病院全体のオリエンテーションで、ついにIDバッジやポケベルをもらった。臨床医学と違う英語(病床管理、院内感染対策、危機管理、保険病名、正確な処方やオーダー、公文書作成などについて)を一日中聞いてへとへとになった。これだけ英語に暴露されるには、やはり働くしかないのではないか。圧倒されたがやる気もでた。
 最後には保険、年金について保険マンらしき男性(院内のbenefit expertという)が早口で説明した。ついてゆけないと同時に、このような狂った保険制度を平気な顔で説明するこの人と保険会社、製薬会社、ひいては米国社会に少しの憤りを感じた。が、来た以上調べて調べてよい方策を採らねばならない。
 健康保険ではdeductible(この金額までは全額自己負担という免責額)、coinsurance(入院費などを保険がカバーする割合)、copayment(外来受診のたびに払う別途医療費)、out of pocket maximum(自己負担限度額)などの用語が飛び交った。
 保険料(benefit contribution rate、contributionとは負担金の意味)は収入と家族構成、保険の種類により決まり、2週間ごとに支払われる給与から差し引かれる。保険はPPO(Prefered Provider Organization)といい、各保険ごとに提携医療機関の数や地域に差がある。私は病院勤務なので、自分の病院に掛かればどの保険でもhighest benefitが得られるのだが。
 ここまででも飲込みに一苦労だが、薬代のための保険が別にある。処方箋をもらって薬局に行くと、自己負担10ドル(後発医薬品)、30ドル(先発品)で薬をもらえるという。ほかに歯科保険、眼科(メガネ・コンタクト)保険がある。さらに、これらを支払うための口座(health saving account)をつくると、振込額に応じて病院から補助が出るという。このあたりから飽和してきた。
 リスクに応じてプランを選べと説明していたが、自分は病気などしないからと月30ドルの保険にして、月200ドルの保険を掛けた人に比べ年間2000ドル浮いた人は、そのお金をどうするのだろう。しかも予想に反して病気で入院でもしたら破産である。健康に関してリスクを負うのは理解できない。安い保険にするひとは、お金がなくてそうせざるを得ないだけではないかと思う。