CBMKT(combined bone marrow and kidney transplantation)とは、ドナーとレシピエントの免疫キメリズムによって臓器に対する寛容を目指す試みである。ただ、骨髄移植は全身放射線照射や毒性の強い前投薬を必要とする上、その後もGVHD(ドナー→レシピエント)の怖れや、DSA(レシピエント→ドナー)による拒絶リスクなどがあって、なかなかうまくいっていない。
あんまり長い間うまくいかないと、"It's the hope that kills you(叶わぬ希望は持たぬ方がよい)"とか、"It has been the future of transplant, and it will always be(いままでもこれからもずっと未来でありつづける=実現しないだろう)"とか言われてしまうが、この分野にも進歩はあって、全身照射などの代わりにTregを注入する、その際のサイトカインストームを抑えるために毎週トシリズマブを打つ、免疫抑制薬はCNI-sparingにしてみる(Belatacept and sirolimus)など、工夫されている。
また、免疫抑制が不要な移植を目指すもう一つの道は、再生医療である。こちらも険しい道だが、臓器まるごとを作らなくてもよい膵島細胞移植では進歩がみられている。自分の細胞を(Yamanaka factor遺伝子の1つだけを誘導し、あとは培地の化学物質で)β細胞に再生できるようになった。さらに、現在(FDA未認可ながら)試みられているように門脈に注入するのはなく、腹直筋鞘に経皮的に注射すればよいという。
Never say never、あるいは、Ted Lassoコーチ(Apple+で放映されたドラマシリーズ:アメリカのフットボールコーチがイギリスのサッカーチーム監督を任される)が言うように"Do you believe in miracles?(1980年冬季五輪のアイスホッケーでソ連に逆転したアメリカチームに実況のAl Michaelsが終了直前叫んだ言葉)"である。