CNI-sparing regimenの組み合わせはprednisone・MMF/MPA・Belaになりがちだが、prednisone・mTORi・Belaの組み合わせもあってよい・・と知る機会があった。MMF/MPA-sparing(血球減少などのため)を意図しての話題だったが、少し調べると、BENEFITトライアルで試されたMMF/MPA・BelaよりもmTORi・Belaのほうが急性拒絶が少ないことは以前から知られていた。
たとえばオハイオ州立大学のグループが行ったthymo導入・ステロイド早期終了の生体・献腎移植患者での①Bela-MMF、②Bela-sirolimus、③Bela-tacrolimusの比較によれば、12か月の急性拒絶が①15%、②4%、③3%で、12か月の平均eGFRは①63.6、②61.8、③54.0だった(AJT 2011 11 66)。②がいいとこどり、の結果である。
何大学かも重要で、この組み合わせを好む施設は決まっていて、OSUのほかにUCSF、Duke、UT Southwestern、Emoryなど。
Emoryからは、Alentuzumab導入・ステロイド早期終了の生体・献腎移植患者で1年間Bela-sirolimusを行った(のちに可能で同意された例でBela単剤を目指した)報告もあった(AJT 2020 20 3609)。
彼らによれば、この組み合わせはCD28陽性T細胞が寛解後のrepopulationでナイーブT細胞が増える(ため、BelaがターゲットにするCD28陽性T細胞がいなくならない)、Tregが増えて免疫寛容に傾く、などの免疫学的な利点があるらしい。
そうはいっても、Bela中心レジメンの施設では拒絶が多いと聞くし、mTOR阻害薬もそれなりに使いにくい(浮腫、蛋白尿、口腔内潰瘍、創傷治癒遅延・・・まあ、どの薬にも副作用はあるが)ので、理想と現実は違うのだろうが。再移植などの免疫学的高リスク例、外科的合併症で苦しむ例などでは、選択肢になり難いと思われる。
それでも、「CNI(とステロイド)をとにかく使いたくない!」と決めて、できるだけ拒絶が少ない組み合わせを求めるなら、現状ではBela-sirolimus/everolimusが最善なのだろう。自施設でも、数例に用いられているようだ。