SGLT2阻害薬は糖尿病の有無にかかわらず心不全、慢性腎臓病などに適応が拡大した。いっぽうGLP1受容体アゴニストは、糖尿病に適応が通ったあと、同じ薬が違う名前で肥満治療に適応され、SGLT2阻害薬と違う展開になっている。
だが、GLP1受容体アゴニストも、SGLT2阻害薬と同様に心血管系疾患と慢性腎臓病の進行を遅らせることが示されていることに代わりはない。心血管系疾患についてはすでに「確立した心血管系疾患のある糖尿病患者で心血管系疾患のリスクを下げる」という適応が通っていた。
そして2025年1月28日には、Ozempic(セマグルチドの、ジェネリックではなく、肥満用でもないほう)が「CKDのある糖尿病患者で腎臓病の進行・腎不全(末期腎不全)・心血管系死亡リスクを下げる」というFDAの適応承認を受けた。
ただ、糖尿病のないCKD患者に適応が拡大したわけではない。糖尿病のない患者を対象にした大規模スタディにSELECT試験があるが、プライマリ・アウトカムは心血管系イベントであった(腎臓はセカンダリ・アウトカムであった)。適応拡大には、別にスタディが必要だろう。