Banff基準にはi、t、g、ptcなどさまざまな項目があるけれども、vは血管病変のことである。多くは拒絶に関係するが、時には内膜動脈炎(intimal arteritis)がその他の拒絶所見なしで単独にみられることがある。移植後早期に見られることが多く、これが拒絶か拒絶でないかは、治療に関わる重大な問題である。
そこで近年議論されているが、RT-qPCRによって遺伝子転写パターンを調べたグループによれば、早期(術後1か月以内)+C4d陰性+DSA陰性の単独V病変例の転写パターンは拒絶パターンではなかった(Clinical Science 2018 132 2269)。そのため、虚血後再灌流など免疫を必ずしも介さない傷害である可能性が示唆された。また、移植腎動脈狭窄が見つかった報告もある(Transplant Proceedings 2021 53 2536)。