2/08/2025

Xeno Trials

 いままで実験的に行われてきた異種移植が、ついに治験として行われるようになった。臓器を提供するUnited Therapeutics CorpとeGenesisの2社によるもので、医学的な理由で移植を受けられない(または移植を受けるまでに5年以上かかると見込まれる)患者が対象だ。

 2024年11月に移植を受けたTowana Looneyさんが、いままでの患者さんと違ってよい経過であることも後押ししたかもしれない。ちなみに彼女は1999年に彼女の母親に腎臓を提供したドナーである。その後妊娠に関連する腎臓病となった。

 ドナーが万一腎臓移植が必要になった場合、待ち患者リストのトップにくることになっている。しかし彼女は感作されていたため、透析を始めて7年たってもドナーは見つからなかった。異種移植は、少なくとも抗HLA抗体の影響は受けない(HLAとはhuman leukocyte antigenの略である)。

 ただ、もし彼女にHLA適合の献腎(または生体腎)ドナーが現れたら、どうするのだろう?彼女に限らず、移植待ちリストに載っている治験参加者にも言えることだが・・。おそらく、異種移植腎が機能している限りは、オファーを見送ることになると思われる。異種移植が何年もつのかは、まだわからない(動物でのデータならあるのだろうが)。

 すべてはこれからだ。

 だが、すべてがここから始まる。