Haplotypeとはよく耳にするものの、遺伝学用語なこともあり、ピンと来なかったのであるが、halpoとはギリシャ語の「半分(haploos)」に由来するという。ああそれで、父親から(母親から)もらう半分、とは納得したが、他にhaploがつく言葉があまりないので、応用は効かない。なお、2つ同じアルファベットが続くつづりで1つを省くこと(misspellをmispellとつづるなど)をhaplographyというそうだ。
遺伝学用語でhaplotypeの意味する内容は幅広いが、移植において問題になるのは兄弟姉妹間の遺伝的共有度だ。ただし、移植で問題になるのはHLAだから、それらが載っている6番染色体が問題になる(全ての染色体が同じ一卵性双生児とは違う)。子供の6番染色体は、父の持つAとB、母の持つCとDから1本ずつ受け取るので、AC、AD、BC、BDの四通り。
そして、兄弟姉妹間でAC・ADのように片方(敢えて「半分」言ってもよい)が同じ場合を1 haplotype matchと呼ぶ(50%)。AC・ADのように両方が同じ場合は、2 haplotype match、またはhaploidenticalと呼ぶ(25%)。AC・BDのようにどれも同じでない場合は、0 haplotype matchである(25%)。
2 haplotype matchの場合、HLA-A・B・DRが同じ6/6 matchなだけでなく、HLA-C・DP・DQも含めてフルマッチになる。・・ならば、免疫抑制薬は不要なのか?と思うが、一応免疫抑制は行われる。しかし、それによる感染症や悪性腫瘍などで苦しむ場合もある(たとえば、Transplantation Reports 2022 7 100101)。
だから、「少なめ」でよさそうであるが、どれくらいの導入・維持・漸減タイミングがよいのかというデータはない。あるいは、「不要(免疫寛容)」なのかもしれない。今後の課題である。