3/03/2025

Cemiplimab

 移植後にリスクが増える悪性腫瘍の代表は皮膚腫瘍である。日光が当たる腕などに小さいのができて、切除すれば済む・・くらいの場合も多いが、残念ながらアグレッシブなSCC(有棘細胞癌)が広く深く進行する場合もある。

 近年は進行した皮膚腫瘍に対する免疫療法がさかんに行われているが、移植後患者に対する免疫療法は臓器拒絶のリスク因子(30%とも)である。つまり、突き詰めれば「癌に勝つためなら透析も厭わない」か、「透析になるくらいなら死を選ぶ」という悲惨な選択になってしまう。また、たとえ前者を選んでも、腎機能が低下すると癌治療の選択肢が減ってしまうこともあるので、あまりよい選択とは言えない。
 
 そこで、免疫療法を行いながら拒絶のリスクを減らす方法はないか?と誰もが考える。たとえば、進行SCCに用いられる(neo-adjuvant therapyの報告はNEJM 2022 387 1557)Cemiplimabを受けた腎移植後患者における、シロリムスとステロイドの拒絶予防効果を調べた治験、NCT04339062がある(JCO 2024 42 1021)。