救急外来は、とくに夜間外来は、日中と比べて診療報酬が高く設定されている。準夜(夕方から夜まで)と深夜(夜から朝まで)でも違うが、深夜など診察を受けただけで2000円払わなければならない。CT検査は、造影剤だけで3000円かかる。どれも、自己負担額である。私が重篤な疾患を見逃してはならない、という一心で追加していた検査であるが、それらをすることで患者さんはだいたい1万円-2万円支払って帰る。
命はpricelessで、実際に「まさか」と思うような病気が検査でわかることがある。見逃していれば翌朝を待たずに心肺停止状態で救急車で運ばれてきていたであろうこともたくさんある。ただし、医療費を自覚して診療できない医師は、現実感覚に乏しいと言われて仕方ない。社会が期待しているのは、話と診察、それに印象で検査を最小限にできる、十分な経験と知識をもった医師だろうか。あるいは、誰でもどこでも安価にだいたいどんな検査でも受けられる「安心」医療体制だろうか。