それには、折り紙と幾何学・代数学の融合、その工学や医学への応用について主に書かれている。またアカデミックな本気さに欠ける分野だったのが、1958年にOrigamiUSA協会ができ、1989年には国際会議がはじまり現在に至るなど、歴史も学べた。
文中にひとつ、レシートでできるマジックがあった。それは、紙の真ん中で縦に引いた線のどこかに点を打ち、その点を通るように何度も折り返すというものだ。
順に説明すると、まず紙に点を打つ。
続いて、その点を通るように折り返す。
少しずつずらして折り返していくと、折り目でできた曲線ができる(赤の破線;Xは中心の点)。
見てのとおり、これは包絡線(envelope)でできた二次曲線である。エコノミスト誌はこれをgood clean educational fun(良質で明快で教育的な楽しさ)と呼んでいるが、まさにそんな感じだ。
折ってできた二次曲線は、図の緑線、すなわち離心率e(eccentricity)が1の曲線と同じで、これを「放物線(parabola)」という。
離心率が1とは、図のFMとMM´の比が1対1ということだ。レシートに戻ると、PMの線で折り返したときM´とFが重なるので、△PMFと△PMM´は合同。つまり、FMとMM´は等しくなる。
ここまできたら、代数に持ち込もう。このマトリクスは準線から焦点までの距離を際だたせるため、準線をx軸、焦点をy軸上においている。
例によって、FMとMM´が等しいので、下記の式を展開して、二次関数(quadratic function)が得られる。
さらに応用すれば三次曲線もできるという。また、『数学ガールの秘密ノート 丸い三角関数(結城浩著、2014年)』で紹介されたリサージュ図形用紙なら、楕円もかけるしオシログラフのようなくねくねした曲線も書ける。
やはり、レシート幾何学(以前のはこちらとこちら)から学べることは多い。