初めての入院コンサルト5週間が終わった。患者の情報をいかに把握するかが、最大の焦点だった。そして、工夫して至ったのが、synopsisである。例えば(もちろん架空の患者である):
65才男性、既往に睡眠時無呼吸症候群、EF低下心不全、心房細動でエリキュースを内服、末期腎不全(原疾患は糖尿病、腎生検なし)で2017年から左上腕内シャントで血液透析(Dr. Reedが診ていた)、2020年12月4日に献腎移植(脳死ドナー、KDPI 60%、cPRA 0%、2/2/1ミスマッチ)、Thymo 4.5mg/kg導入、リンパ嚢腫を合併しドレーン排液後、ベースラインのクレアチニンは2.0mg/dl(移植腎生検2023年3月11日、拒絶なし、小動脈硬化あり)で維持免疫抑制はベラタセプト(次回9月21日)、タクロリムス2/2mg(目標トラフ3-5ng/ml)、プレドニゾン5mg(Dr. Reedが診ている)。9月13日に過大シャント血流(6L/min)によるとみられる心不全で入院。Cr 2.5mg/dl、利尿薬を使いつつシャント結紮を検討中。
といった具合である。
米国のカルテはすべからくこうした「1行サマリー」が必ず記載されるが、実際には誰かが作ったものをコピーすることが多い。とはいえ、移植についての情報が満載のこの文章を自分で作ると、把握は半分くらい終わる。
※あとは、いかにこれを覚えておくかである。今の工夫は、上記の文章を全員分集めて印刷した紙を持ち歩いている。幸い略語が多いので、英語で書くと20人いても3枚くらいで済む。面白いから上記文章を英語に直すと:
65 yo M with PMH of OSA, HFrEF, Afib on Eliquis, ESKD 2/2 DM2 (no biopsy) on HD via LUE AVF since 2017 seen by Dr. Reed, s/p DDKT on 12/4/2020 (DBD, KDPI 50%, cPRA 0%, 2/2/1MM), Thymo 4.5mg/kg induction, c/b lymphocele s/p drainage, baseline Cr 2.0 (biopsy shows arteriosclerosis, no rejection) on bela (next 9/21), tacro 2/2mg goal 3-5, prednisone 5mg seen by Dr. Reed. Admitted on 9/13 for HOHF (AVF 6L/min), diuresed, AVF ligation being discussed.
残りの半分は、リアルタイムのバイタルサイン、検査値、処方薬一覧である。これらを全部含むハンドアウトを印刷することは可能であるが、かさばるのでしていない。スマートフォンから参照できる電子カルテアプリ、Haikuを利用することもあるが、抜けがでることもある。
これらをどのように把握するかが、今後の課題である。そのうち、コツが見つかるだろう。