9/08/2024

ALECT2

  ALECT2とは、leukocyte chemotactic factor 2(LECT2)によるアミロイドーシスのことで、初めに報告されたのは2008年のことである(参考文献:J Investig Med 2022 70 348)。主に腎臓、次いで肝臓に沈着するが、他のアミロイド蛋白は変異したものだけが異常に重合してアミロイドとなるが、LECT2は変異がないものもアミロイドとなる。

 Hispanic ethnicityに多いと言われ、米国の陽性例は約90%がそうである(とくに、Mexican Americans)。だが、現在ではBanjab、Han Chinese、Egyptian、First Nations People(British Columbia)など他のethnicityにも見られることが分かっている。

 腎臓のアミロイドーシスと言えば、ALアミロイドーシスをはじめ糸球体に沈着して蛋白尿・ネフローゼ症候群などを起こすものが多い。しかし、LECT2は主に間質に沈着し、CKDパターンをきたす。

 なので、蛋白尿のない(あるいは目立たない)原因不明のCKDに腎生検を行い、皮質の間質におかしな沈着があるのでアミロイドの染色をしたら陽性(strikingly positive、かつAA・AL・ATTRではない)・・という具合に診断される。生検されず未診断の患者も多いと思われる。

  なお、LECT2そのものは脂肪肝などで惹起される炎症にともない異常に肝臓から産生されることが分かっているが、なぜ腎臓の間質に目立って沈着するのかは分かっていない。肝臓由来の疾患であるため、腎移植後も再発しうる(CJASN 2015 10 2084)。

上図がCongo Red、下図がLECT2の免疫染色
(出典はAJKD 2019 74 563) 

 移植においては、移植腎生検で見つかることが多い。つまり、ドナーにもともと腎疾患があったことになり、ドナーにとってもレシピエントにとっても「移植してよかったのか?」という話になる。少なくともレシピエントにとっては、5例ながら腎機能低下はみられなかったという報告がある(AJKD 2019 74 563)。