9/24/2024

MMFと腸肝循環

 MMFは1g1日2回で開始し、徐々に500mg1日2回にするのが現施設の通例だ。その背景には、MMFの腸肝循環が関係している。

 MMFは腸で吸収されてMPAとなったあと、門脈から肝臓に至り、肝細胞でグルクロン酸抱合を受けてから胆汁に排出される。腸管に戻ってきたグルクロン酸抱合MPAは腸内細菌叢によってふたたびMPAとなり、ふたたび体内に吸収される。

(出典はKI 2021 100 1185)

 MMFが登場したころに主に併用されたCNIであるシクロスポリンは、肝細胞がグルクロン酸抱合MPAを胆管に排泄する際のトランスポーター、mrp-2(またはABCC2)をブロックする。

(出典はKI 2021 100 1185)

 そのため腸肝循環に回るMPAが減り、AUCが場合によっては40%低下し、シクロスポリン併用時のMMF用量は1g1日2回でも足りない可能性が指摘されてきた。しかし、現在主流のタクロリムスはMMFの腸肝循環を阻害しないため、1g1日2回も要らないのではないかという考え方がでてきた。

 本当はMPAのAUCを測定すればよい(30-60mg*h/Lが目標とされる)のだが、ルーチンには行われない。そこで、移植直後は1g1日2回としておき、免疫学的なリスクに応じて徐々に500mg1日2回にするようになった。