4/25/2025

Early steroid withdrawal

  以前ステロイド早期終了レジメンについて書いたが、実は早期終了レジメンを支持するきちんとしたRCTは存在する(Ann Surg 2008 248 564)。

 8日目からステロイドをゼロmg/dにする群と、その後も5mg/dまで漸減しながら6ヵ月継続した群をプラセボ対照で比較したもので、生命予後・グラフト予後・中等度/重度拒絶に有意差はなかった。生検で確認された拒絶は早期終了群で多かったものの、多くはBanff 1A TCMRで、ステロイドにより治療可能だった。

 その後このようなRCTは出ていないが、このRCT対象患者を平均約15年追跡した(OPTNデータで確認できる部分に限ってだが)ところ、長期予後にも有意差はなかった。また、OPTNデータから抽出した同RCTに当てはまる患者について調べたところ、同様の結果だった(JAMA Surg 2021 156 307)。

 ステロイド早期終了レジメンと言えば免疫学的低リスク群に試みられるというのが定説であるが、このRCTも生体腎ドナーが多く、cPRAは低く、アフリカ系は少なく、30%がnon-depleting antibody(バシリキシマブ)導入だった。また、感作イベントとなりうるDGF症例は除外されていた。

 それでも、逆に言えばRCTに当てはまる群はステロイド早期終了でよい(逆に言えば、ステロイド継続の必要はない、または、その必要性を正当化できない)とも言える。どこの国も出ステロイドに依存しているのは医療者で、そう感じるのにも事情があるのはわかるが、正しく怖れないと、良かれと思って患者を害しているかもしれない。