7/03/2024

Transplant Kidney Biopsy

  よかったことをいくつか挙げると、まずは超音波技師さんが付き添ってくれる。そして、事前にちょうどよい位置や角度をある程度示してくれるだけでなく、拡大縮小や輝度を適宜調節してくれる。そのため、穿刺針の位置や腎臓内外の構造が非常に見えやすい。日本でも、生理検査室でやるなら、(検査技師さんの人出があるならば)付き添ってもらうと超音波を使いこなせるだろう。

 次に、生検に必要な物品がキットになっている。そのため、あれとあれと・・などと探したり(持参し忘れたり)することが防がれる。キット以外で必要なのは、スパイナル針、穿刺針、滅菌手袋くらいである。リドカインも5mlが2アンプル入っている。自前ではなく製品なので、さまざまな臓器の生検に汎用できるのだろう。そして、その費用を上回る金額を請求できるのだろう。

 最後に、医師が一人で施行する。エコーの保持と穿刺を一人で行う医師は日本でも珍しくないが、検体の処理、患者の搬入搬出なども一人でやる。また、「生検曜日」が決まっていて、その日に生検担当の医師がまとめてやる。そのため、他医師がオーダーしたものも、(よほど安全性や必要性に疑問がなければ)やる。そのため、生検担当の医師はほんの数年で1000件を超える。そして、細かいようでとても大切なコツを蓄えることができる。 

 何よりも、そうして得られた頼もしさは、患者さんとその家族に安心感を与える。

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Advaned Nurse Practitioner

 診療看護師(nurse practitioner、NP)は日本でも徐々に活躍の場が広まっているが、本場?米国はAdvanced Practice Registered Nurse(APRN)たちがもっと活躍している。APRNの資格で働ける4つの職種の1つがNP、という関係にあるので、たいした違いはない。しかし、米国のARPNはすでに医療の根幹をなしている。

 たとえば朝のチーム回診前に患者を診察してみんなの前でプレゼンするのは、彼女たちである。レジデントの役目に近いが、レジデントよりも情報収集や問題点の抽出はしっかりしている。また、billing(診断病名やケアのレベルを入力して、診療報酬を請求すること)もできるので、アテンディングのような役目を果たしている場合もある。

 レジデントは卒業したらどこかにいってしまうレジデントよりも、ARPN達がいてくれるほうが人材不足になりにくい。医師の安定供給はどの国でも大変だから、今後日本でも診療看護師の需要は増えていくと思われる。問題はそれを供給できる(医師たちが供給を許す)かであるが・・。


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7/02/2024

Kidney Voucher Program

 アメリカはあまり生体腎移植をしないとよく言われるが、献腎移植が相対的に多いだけで、実際には日本よりもおこなわれている。一回腎移植カンファレンスに出席しただけでも、生体腎移植を可能にするさまざまな仕組みがうかがわれた。

  たとえば、kidney voucher programである。米国ではNational Kidney Registry(NKR)が中心に行っており、standard voucher、family voucher、swap saver、real time swap saverなどがある。

 Standard voucherとは、自分が本来提供したかったレシピエントとマッチせず腎臓を提供できない場合に、他のドナーに提供することで、そのレシピエントが「腎臓優待券(voucher)」をもらう。それにより、本来あげたかった相手が移植されやすくなる。

 Family voucherとは、非特定の相手に腎提供することで、家族5人に「優待券」を届けることができる。それにより、いつか誰かが腎臓病になった際に、その人が移植されやすくなる(券を使えるのは一人)。

 Swap saverとreal time swap saverは、paired kidney donation(いわゆるドミノ移植)に関係したもので、自分の家族や友人が(体調不良などで)移植を受けられなくても、ドミノを止めないように腎提供を行った場合、その家族や友人が(体調がよくなったら)優先的に移植を受けられるというものだ。

 また、生体腎移植ドナーの経済的負担をカバーするDonor Shieldという制度もあることがわかった。治療・検査費用、移植を受けるための旅費(同じ町でできるとは限らない)だけでなく、仕事ができない間の保障、入院中の子供や高齢者の世話にかかる費用など、さまざまな負担がカバーされるという。


(NKRのYouTubeビデオより)